汎関数と汎関数微分
汎関数
定義
汎関数 とは、関数 を受け取って、1つの数を返すものである。
「関数を受け取る」というと抽象的に感じるが、実際には、(関数にいろいろな数を入れてできた)グラフのようなものを受け取ると考えると分かりやすい。(ここでのグラフは、点と線をつないだネットワークのことではなく、関数の値をプロットした図のこと)汎関数はいろいろな形のグラフを受け取ることができ、それぞれのグラフに対して1つの数を返す。たとえば、最速降下曲線の降下時間 は、坂の形 のグラフを受け取って、降下時間という1つの数を返すので、汎関数である。
汎関数は、連続無限個の変数をもつ多変数関数ということもできる。
関数・多変数関数・汎関数の、受け取るもの(引数)と返すもの(返り値)をまとめる。返り値はどれも1つの数である。
| 書き方 | 引数 | 返り値 | |
|---|---|---|---|
| 関数 | 数1つ(一変数) | 数1つ | |
| 多変数関数 | 数 個(多変数) | 数1つ | |
| 汎関数 | 関数=連続無限個の数(連続) | 数1つ |
ただし、
- は体(実数、複素数、四元数など)
汎関数は、多変数関数の添字 が連続変数 に置き換わったものとみることができる。
ふつうの関数 は、ベクトル の成分の数を無限にした極限で表せる。つまり、関数は“無限次元のベクトル”である。
余談
物理で、いつでも連続化ができるのは、運動の項があるからだといえます。古典論でも量子論でも、運動の項には微分が含まれています。
もし離散的なら、微分のところでエネルギーが発散して になってしまいます。でも、そういう状況には興味がありません。だから物理では、いつでも連続化したり、極限を取ったりします。いつでも極限を取ってよいのは、宇宙を有限の箱と考えてよく、宇宙の寿命も有限だからです。
特別な例として、離散的なものもあります。ゲージ自由度です。ゲージ自由度の中は物理に関係しないので、まったく自由に取ることができ、離散的でもかまいません。なんとなく、生物の中立遺伝子に似ています。中立遺伝子は進化にまったく関係しないので、バラエティが豊富で、めちゃくちゃでもよいのです。
関数が無限次元のベクトルであることに関連して、量子力学のヒルベルト空間は、無限次元のベクトル空間ということができます。
汎関数微分
定義
| を だけ変えたときの汎関数の変化 | |||
| の1次の項と、2次以上の項に分けた。 |
このときの を汎関数微分という。汎関数微分は、 で定義された関数である。
この定義を使う問題
偏微分と比べると、共通点がよく分かる。
比べるもの:偏微分
| を だけ変えたときの関数の変化 | |||
| の1次の項と、2次以上の項に分けた。 |
このときの を偏微分という。偏微分は、 成分のベクトルである。
2つを見比べると、次のように対応している。
| 汎関数微分 | 偏微分 |
|---|---|
| 関数 | ベクトル |
| 成分() |